全国有数の漁獲量！上品で旨みたっぷりのタイ

鮮やかな赤色と美しいフォルムが印象的なタイは、お祝い事に欠かせないおめで“タイ”魚です。誕生日や結婚、長寿、子どもの節句などお祝いの席で尾頭付きのタイが登場すると、場がグンと華やぎますね。縄文時代の遺跡からタイの骨が見つかるなど、古くから日本人が食べてきた馴染み深い魚でもあります。その味のよさは旨味成分のイノシン酸とグルタミン酸などのアミノ酸をバランスよく含んでいることにあります。アミノ酸の分解速度が遅いため、腐敗の進行が遅く、味の低下が少ないこともタイの特長。近頃ではあえて熟成させてから提供する飲食店も増えています。また良質なタンパク質もしっかり摂れ、皮膚や粘膜を維持するビタミンB群も豊富です。美味しいだけでなく栄養も抜群なのです。

玄界灘の荒波にもまれて育ったタイは、身がよく締まり淡白で上品な味わいが魅力です。刺身でなめらかな舌触りを堪能したり、塩焼きにして、パリッとした皮とふっくらとした身を楽しむのもおすすめです。また、あら炊きや鯛茶漬けなど、調理法はさまざま。さっぱりとしてクセがないのでアクアパッツァやカルパッチョなど洋風にもアレンジしやすい食材です。

実はタイの漁獲量全国トップクラスを誇る福岡。代表格のマダイをはじめ、アカアマダイやキダイなどが獲れ、福岡市では糸島半島の東側にある西浦漁港や玄界灘に浮かぶ小呂島、玄界島周辺で水揚げされています。島の周辺の海底にはタイのエサとなる小魚などが豊富でしっかり脂がのったタイが泳いでいるのだとか。タイは一年中漁獲されますが、旬は秋から冬にかけての寒くなる時期。漁師さんが沖に出て、多数の枝針をつけた幹縄を海中に投げて、針にかかった魚を漁獲する延縄（はえなわ）という漁法で漁獲されています。獲った後、ここからが重要です。漁師さんがすぐに船の上で活き締め処理をして神経を抜いておくことで獲れたてピチピチの鮮度を保ちます。豊かな海に育まれ、漁師さんの技で鮮度を保った極上のタイが福岡の飲食店や食卓に届くのです。

定番と韓国風、博多のタイを2種類のあら炊きで
食べ比べ！

東長寺近く、大博通りから一歩入った場所に静かに佇む「酒肴 梨庵（りあん）」は知る人ぞ知る人気の割烹です。インターホンを押してからドアを開けてもらうというシステムで（予約が基本ですが、一見客お断りということではありませんのでご安心を）、その隠れ家感に期待が高まります。

今回は人気の２種類の「鯛のあら炊き」をつくってもらいました。まず一品目は「あら炊き 博多風」。大きなタイのあらを博多らしく甘めに味付けした定番のあら炊きです。タイの身や骨から出る旨みが煮汁に浸み出し、その旨みを纏った豆腐と、季節の野菜が添えられた割烹らしい上品なあら炊きです。ゆずの香りも食欲をそそります。

もう一品が「あら炊き うま辛味」。韓国唐辛子を使った創作和食で、甘辛いタレがタイと好相性。新しいタイの美味しさに出会えます。豆腐や旬野菜のほか、一緒に煮たニンニクが添えられていますが、これがピリ辛のタイの美味しさをぐっと押し上げ、ご飯やお酒が進みます。

店主である女将・高山梨花さん（写真左）と料理長の平正彦さん（写真右）。2000年の創業以来、二人三脚で店を営んできました。「ほかの土地に行くと、改めて博多の魚の美味しさに気付かされます。町家が多く、古き良き博多の文化を伝えるこの地にふさわしい“博多らしい”料理を提供していきたいですね」と高山さん。

店内はカウンターと個室が4室。人の目を気にせずくつろいで博多の美味に酔いしれることができるとあって、ビジネスマンの接待も多いそう。メニューは「季節のおまかせのコース」やもつ鍋や水炊きなどの鍋コースもあり、冬はあらやふぐのコースも登場します。

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