ふくおかさん家のうまかもん

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うまかもん

海苔

知る人ぞ知る「博多湾名産 姪浜のり」

博多湾で海苔が養殖されているってご存知でしたか?その歴史は明治期に始まり、かつては志賀島、箱崎、姪浜、今津など、博多湾の至るところで養殖が行われていたそうです。その伝統を今に受け継いでいるのが福岡市漁協姪浜支所。現在は福岡ドーム前の愛宕浜(写真上)と生の松原前の海(写真下・後ろは能古島)で養殖を行っています。

海苔の生産地といえば、有明海や瀬戸内海など、干満差のある海が有名ですが、博多湾の干満差はそれほど大きくないため、生産者は独自の方法で養殖を行っています。実は日本海側で海苔の養殖を行っているのはここだけという話も!それだけ貴重で美味しい海苔は大人気。毎年12月上旬から初摘みの海苔が販売されると、あっという間に完売しています。

「日本海側でこれだけの規模で養殖を行っているのはここだけだと思います。博多湾は志賀島が外海から守ってくれて、冬の風の影響を受けにくいんです。他の産地は河口付近でつくられることが多いんですが、博多湾の海苔は河口から離れた場所で養殖しているので少し塩気があって甘いんです」と海苔養殖歴16年の野上洋平さん。地元の海苔の魅力を伝えるべく、小学校などでも講演を行っています。また、ここで作られる海苔は福岡市内の学校給食にも提供されています。「子どもたちに美味しさを知ってもらいたいので、質のいいものだけを選んでいます!」。

海苔の養殖は水温が下がる10月からスタート。二枚貝についた海苔の種(胞子)を網につけ、発芽を顕微鏡を使って観察します(写真上)。ある程度、胞子が付いたら毎日一定時間網を海中から出し、日光浴させるのだとか。「免疫力をつけさせるために赤ちゃんに予防接種を受けさせる、みたいなものです。日に当てることで海苔が強くなる」。日光浴にどれくらいの時間と日数をかけるかは生産者の経験値によるところが大きいそうです。

日に当てられて強くなった種は海の中で発芽し、ぐんぐん大きくなります。11月末頃から摘採がスタート。専用船で網を揚げ、海苔を摘んでいきます。港に戻ったら、ホースで吸い上げて工場に送り、しっかり洗浄してミンチ状態に。

ミンチ状態にした海苔を型にはめて整形。乾燥させて板海苔に仕上げます。スーパーなどで並んでいる焼き海苔は板海苔を焼いたもの、味付け海苔は焼き海苔に味をつけたものです。
「香りがいい板海苔は毎年、あっという間に売れてしまいます。購入されたら乾燥剤を入れた密閉袋に海苔を入れ、さらに保存容器に入れて冷蔵庫で保管してください。焼く時は温めたオーブントースターに3〜5秒ほど入れると、ムラなく焼けますよ」。

初摘みの板海苔は毎年、12月ごろから姪浜支所や「博多じょうもんさん市場」で購入できます。

また、「味付けのり」や「姪浜生のり佃煮」も人気の品。どちらも最高品質の海苔だけを厳選してつくっています。大手メーカーの佃煮には、原料にアオサなどが入っていますが「姪浜生のり佃煮」は海苔100%。海苔本来のなめらかな食感と旨みが生きています。

驚くほどの手間暇と時間をかけてつくられる博多湾の海苔。
「海苔は本当に繊細。よく初摘みがいいと言われますが、必ずしもそうとは限らないこともあります。16年間やっていても、毎年難しさを実感し、それを解決する手段を試したくて“来年、すぐ来い!”と思います」と野上さんは言います。

博多湾が育んだ海苔は少し塩気もあり、白米との相性抜群。まずはおにぎりでその美味しさを感じてください。

※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。

情報

産地
姪浜(西区)
12月
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